第5話 諸手でもたらた場合の対処法2
武
(悔しいけど、今は我慢…)
「師父続きをお願いします。」
素菓子
「うむ。肘を抜く時は手で抜くのではなく
体全体で抜くように。
手首を抜いたらそのまま一気に顔面に肘を入れる!
反対の手で相手を支配しているから容易に
入れれるはずじゃ。
ただ、肘を打つ際に反対の極めてる腕が途中で
抜けてくれんと自分の腕が邪魔で肘が打てん。
お主の動画でもそうなっとるじゃろ。
自分の腕が邪魔で無理して打つから肘がオープン気味に
打ち出されとる。しかも、オープンな肘を誤魔化す為に
腰が閉じたままになり腰を入れて打てんから
不細工な恰好で打つことになっとる。
志村けんの『アイ~ン』みたいになっとる
笑いをとるんじゃったらそれでいいかもしれんが、
真剣勝負では無用じゃの。
肘を打つ際、反対の手は引かず押さずでニュートラル
の位置を保持し、顔面に肘を入れることで
相手を後に倒すんじゃ。
一番のポイントは右は引いても左はそのまま。
右を引くから実際は左は若干押し気味になるが、
相手の重心は一定に保てよ!」注)左前の場合
右と左の動きがバラバラになるから若干難易度は
上がるが簡単じゃろ?」
武
「なんとか形だけはできるようになりました。」
素菓子
「まずはそれで良い。まずは形を覚えよ。
そしてそれを繰り返し、細かい所を修正せよ。
さすれば、誰でも上達するようになっとる。
無知なお主に一応聞くが、
1万時間の法則をしっとるか?」
武
(くっそ~言われたい放題じゃないの!
でも知らないし…ここは下手に)
「いいえ知りません。私は無学なので
教えて下さい。」
素菓子
「少しは勉強せいよ。1万時間の法則とは
てっとり早く言うとあるスキルを習得
しようとするとおおよそ1万時間
を要するってことじゃ。
語学、ピアノ、ダンス、武術しかりじゃ。
それなりになろうとするとそんだけ時間が
必要ということじゃ。
だから、昨日今日始めたようなくちばしの黄色い
ヒヨコが上手下手を語るのは笑止な話じゃて
かっかっかっかっかぁ~、あ!あ!顎が」
ゴキッ
「笑い過ぎて顎が外れたじゃろうが!!!」
武
(勝手に笑ってたくせに、ざま~みろ)
素菓子
「じゃから今は上手下手を語るより、ひたすら
形を覚え、反復練習する中で術の本質を見抜き
より高度な体の使い方を習得するよう心掛けよ。
護身術に複雑な動きは必要ないじゃろうから、
単純な動きばかりで構成されとるはずじゃ。
これでできなんだら、護身なんてあきらめろ。
小手先の動きにとらわれるな、体全体を
使うんじゃ。小指1本動かすのも体全体を
使うと心得よ。
わかったか?」
武
「はい、なんとなくわかりました。」
素菓子
「なんとなくって!
もう教えんぞ
あほんだらぁぁぁぁあああ!」
武
「師父そんなに怒ると血圧があがりますよ」
素菓子
「おまえが怒らせとるんじゃ
ろうがっ~!!!」
はぁはぁ、ぜーぜー、はぁはぁ、ぜーぜー
「あんまり怒ったから動機がしてくるわい」
武
「それじゃあ、九心飲んで元気になって下さい
はいこれ。」
素菓子
「そうそう、最近階段を登るのが辛くって……
でもこれがあれば大丈夫。
動機息切れに、きゅ~しん♪きゅうしん♪
ってあほか!
ポイっ
(はっ!思わず乗り突っ込みしてしもうた)
武
(……………)
「今日は大変参考になりました。
これから教えていただいた事を肝に銘じ
日々精進していきます!
ありがとうございました。
では、これでさようならまた来週!」
チリンチリーン チリンチリーン
素菓子
「えっ…………あんだけやらせといて
ワシを放っていくの……
ワシの存在っていったい…」
風)ヒュウーーーーーーーー
素菓子
(でも、良い退屈しのぎになりそうじゃわい)
つづく