第4話 諸手で持たれた場合の対処法
武
「ではこれから、教えてもらえるんですか?」
素菓子
「いちご大福も、もらったしの~
仕方ない、教えてしんぜよう。
が、正式な弟子というわけではないぞよ。
ワシが趣味で教えるだけじゃ。」
武
「ありがとうございます。
では、お爺さんこれから宜しくお願いします」
素菓子
「お、お爺さんて、張っ倒すぞ!!」
武
「す、すいません。
どうも見た目がただのお爺さんなんで…」
素菓子
(どうも、わしをリスペクトしてないようじゃの)
「ふんっっ、まあよいわ。
正式弟子ではないが師父と呼ぶことを許そう。」
武
「ありがとうございます師父。精一杯がんばります」
素菓子
「うむでは、さっそくじゃが今日はどんな
護身の術を学んだんじゃ?」
護身術 女性 両手で片手持たれたら 金的頭突き顔面に肘打ち Women Self-defense. If it is held with both hands
武
「手を抜く時に無理に抜いてどうしても引っ掛かりができて
最後の肘が遅れてしまうんです。」
素菓子
「聞いておるとは思うが『脱力、角度、軸、重心』
これがわかってないと、術をより成功させるのは難しい。
これらを前提条件を満たすと言うことにする。
偶然できたではダメなんじゃ。
しかも主がやろうとしとるは護身術。
チャンスは1度しかないと思え。
そのチャンスに己の持っているすべての術、力を
全力で浴びせかけるんじゃ!完膚無きまでにの。
加減など必要ない!
オナゴにとっては将来が係わってくる真剣勝負。
相手もそれを承知での行為であろうからの。
カスみたいなやつらじゃが。
さて、前置きはここまでにして、
お主はどこまでわかっているのかの?」
武
「初めは全然わからなかったけど、最近は全体的に
わかるようになってきました」
素菓子
「まぁ怪しいが。
前提条件が満たされてないと術の汎用性が高くできんて。
これらが満たされない術はただの力技じゃ。
そこに術理なんてないに等しい。
力技では、オナゴや力の弱い者は何もできん。
理論上そこに護身術は成立しないことになる。
だが、ワシらがやっているのは、力に頼らない術じゃ。
見た目は普通にしか見えんが、
体の中で体が動いている高等な体の使い方じゃ。
ただ、これらもスキルじゃから誰にでもできるのじゃ
だからお主にもできるという訳じゃ」
武
(ただのジジイだと思ったけどまともなことも言うんだな)
「では、今日の術では何がダメだったんでしょうか?」
素菓子
「まず初めの相手の肘を極めるところから甘いの。
あれで相手の体を浮かすことにより重心を奪う。
もちろん相手の肘を極めるのに力は使わん。てこの原理
の応用じゃ。相手の重心を奪えば自由に操作できるので、
今回は頭突きにしとったの。相手をこっちに引き寄せ頭を
出したら頭突きじゃ。これはほぼ100%決まるはずじゃ。
そのまま勢いで金的に膝を入れる。保険じゃ。
後に押したらこれで終わりじゃろうが敢えて難易度を上げとる。
そこから持たれた手を抜くわけじゃが
相手の肘を極めつつその場で保持。そのまま手首を
真上に抜くのではなく、相手の親指を切るように抜く。
もちろんその際自分の手首が相手の親指とぶつかっては
いかんぞ!スルスルとうなぎのように蛇行して抜くんじゃ。
一切のぶつかりのないように訓練しろ!基本じゃ。
これは脱力ができてないと厳しい技術じゃ。
ぶつかりがわかってないと話にならんからの~
ここまでは理解できるか?」
武
「はい、ぶつかってる感覚はわかっています。
だいぶ怒られながら練習しました……」
素菓子
「これくらいはわかってないと弟子Мにも見放され
とるじゃろう。いろはの、い、じゃ。
これすらわからず、何十年とひたすら武道の練習
しとる者が圧倒的に多いがの。かっかっかっ
じゃが、あ奴に怒られながらも、よう練習したの?
あ奴は目をかけてない者に教える時は
穏便にやさしく教えとるが、目をかけてる者には
鬼のようになっとるはずじゃがな~?」
武
「はい、大概怒られてます…」
素菓子
「かっかっか、さもありなん。
ただ、そんだけお主の才能を理解しとるということじゃ。
あやつは無駄な物に金も時間も絶対に投資はせん!
合理性の塊みたいな奴じゃからの、1秒でも惜しいんじゃ。
鬼の形相はあやつがお主を認めた証拠じゃ。
誇りと理解しろ。なかなか認めん男じゃぞあ奴は。
それだけの才能があるってことじゃよ。
わしにはさぁっっぱりわからんがの~」
鼻ホジホジ
武
(このジジイ!!)
つづく