第8話 肩に手をかけようとするふとどき者を成敗
空き地にて
素菓子
「驚き、桃の木、山椒の木、一気に時を渡りきり、
ついに出た出たやっと出た、武術界のアイドル、武仙、素菓子
今週も見参!」
武
「いつもご苦労様です。
師父、自転車もって来ましたから。」
素菓子
「うむうむ、ごくろうさん。
スッカリ乗ってきたのを忘れておったのじゃ」
武
(そろそろ危ないんじゃないかしら…)
「師父、今週もよろしくお願いします」
素菓子
「よしよし、今回はどんなのをやったのじゃ?」
武
「今回はこんなのです」
護身術 女性専用 強引に手を肩をかけてきたら Women Self-defense.
素菓子
「ほ~っ今回はどじゃった?」
武
「最初は苦戦したけどわかりだしたら
どんどん出来始めました(笑)」
素菓子
「フンっこの術はフック系のパンチにも対処するための
基本の術じゃ。今回は肩に手をかけようとする為
じゃから相手にさほど力が入っとらん。じゃから、
簡単にできとるが、相手が本気でフック系のパンチ
できたら、こうは簡単にいかん!
より高度な体の使い方を要するぞ!
あくまでも基本が少し出来たくらいじゃ!
調子に乗るなよ!」
武
「はいっわかってます。
師匠に何発か殴られました!」
素菓子
「かっかっかっ。いい薬じゃて、
奴は厳しいからの、何となく
目の周りにうっすら涙の後があるようじゃが~
気のせいかの?
武
「こ、これは汗です!」
素菓子
「ふ~ん。どうでもいいがの。
で、今回はどこら辺が苦戦したんじゃ」
武
「はい、そもそも相手の腕に自分の腕を
からめる事が出来ませんでした…
そして自分の姿勢も崩れ独りよがりで動くから、
手も伸びるし、相手の体勢が全然崩れません
でした!」
素菓子
「そうじゃろうのう。簡単に見えるが、
やるとなると、なかなかコツがいるんじゃ。
まず、相手を崩すというのが絶対条件じゃ。
これができんと全く話にならん。
さらに上手くなるとこのまま相手を投げるのじゃ!
投げれる様にまではなれよ。」
武
「げっ、がんばります」
素菓子
「わかっとると思っとるが、力んではできん。
そして、相手の力の流れを感じその方向に合わせて
身を引く。相手の動きが速ければ速く、ゆっくりで
あればゆっくり、相手の動きに同調する流水の動きじゃ。」
武
「はいっわかります。
やり始めは相手の動きを考えず、自分ばかりが
動いていたから、相手と力がぶつかってばかり
でした。おかげで腕が真っ赤になりました。」
素菓子
「ドン臭い奴じゃの~弟子Mもだいぶ苦労
しとるじゃろうて~かっかっか。才能が弟子M
より残念なんじゃからしっかり自主練しとけよ!
このままでは100年かかるて。」
武
(くっそ~言わせておけば)
「師匠にも自主練は言われているので
しっかりやってます。」
素菓子
「励めよ。バランス感覚もまだまだじゃ。
では、次じゃが…」
つづく
第7話 肩に手をかけられた時の対処法2
公園にて
前回の動画はこちら
素菓子
「相手の腕の捻じり上げ方じゃが、
まず相手の手を軽く握る
相手の腕を頭がかするくらいギリギリで
くぐり抜け相手との距離を詰め
やや後方に頭が滑るように入り込む。
武
「こんな感じですか?
素菓子
「上半身でくぐるんじゃなく、
下半身を使うんじゃ。
足を使え。上半身でくぐると動きがブレル。
お前はいつも足元がお留守になっとる。横着をするな!
自分が動いて相手の動きを支配するのじゃ!」
武
「こうかな?」
素菓子
「そうじゃ。頭を腕の下をスルッと滑るように移動させ、
一気に相手の斜め後ろまで詰める。もちろん足も
寄せておけよ。頭を移動できたら、その軌跡を握った手が
移動する感覚で捻じり上げる。その際決して腕力で捻じり
上げるなよ!抵抗されて逃げられてしまう。
うまくいけば、勝手に手が付いてきよる。
やってみぃ」
武
「えいっ!」
素菓子
「いててててっ!そうじゃその呼吸じゃ!
上手くいけば力も全く使わず相手の腕が捻じり上げ
られる。ワシが爪先立ってるのがわかるか?
これがしっかり肩関節が極められてる証拠じゃ!」
武
「で、出来た!」
素菓子
「ここまでできたらほぼオーケーじゃ。
後はここまでの動きをどんだけ相手に気づかれずに
行うかじゃ。この後は今回は顔面を打ちながら
地面に叩きつけとるが、比較的横に位置した場合は
これでも良いじゃろう、後ろに回りすぎた場合は、
相手の髪を取って後ろに引き倒せ、もしくは、
相手の襟を持って、膝を足で押し込んで、膝かっくんしろ!
これらはおまけじゃから好きなようにしたらええ。
大事なのは捻じり上げるとこまでじゃ!!
これを何回も反復練習しろ!」
武
「わかりました!なんかスムーズに体が動いたら、
逃げるよりこっちの方をしっくりきます。」
素菓子
「全ての術でその感覚が実感できれば護身力は
かなり上がっとるじゃろうのう。もはや常人に
あらずじゃ。体の使い方も合理的になり私生活に
おいても体を使い易くなってるはずじゃ。
ただし、術を試そうとはするなよ!
火の粉が降り掛かった時のみ使用するように!
しかし、その時の為の鍛錬は毎日のようにせい!」
武
「わかっています。その覚悟はしました。
私はこの護身術をマスターしてみます!」
素菓子
「かっかっかっ。心良きかな。知れば知るほどそんな言葉は
吐けんようになるがの。
今日はここまでじゃ。ほ~れっ
あそこの木からセミが鳴きだしおったわ」
武
「ほんとうだ!今日は少し暑いし、まだいたんですね
って、あれっ師父どこですか」
(キョロキョロ)
どこからともなく声がこだまする…
素菓子
「かっかっかっ。
まだまだお主の動きは未熟じゃ。
これから精進して修行に励めよ!
来週までさらばじゃ!
まだまだマスターまでは遠いの~
かっかっかっかっ」
武
「師父っ~!師父っ~!」
(自転車忘れてるんだけど…)
つづく
第6話 肩に手をかけられた時の対処法
武ちゃんが待ってると
向こうの方から1台の赤い自転車がやってきた!
チリンチリーン チリンチリーン キーッッ
素菓子
「驚き、桃の木、山椒の木、一気に時を渡りきり、
ついに出た出たやっと出た、武術界のアイドル、武仙、素菓子
再び見参!」
(チラッ)
武
(めっちゃどや顔してるやん……面倒くさいな~)
「師父今日もよろしくお願いします」
素菓子
「いやいや、よろしく違いますじゃろ。
この入場の仕方はどう?きまってるじゃろ?」
武
(あ~面倒くせっ。さっさと終わらせよう)
「大変ナウい登場の仕方ですわ。」
素菓子
「そ、そうかな~やっぱりきまったとは
思ったけど、正直に言われると照れるぞい。
サインいる?」
武
「大変頂きたいのですが今回は遠慮しときます。」
素菓子
「あっそう…
でもあれっっ!今日は僕ちゃんなんか
やる気がでちゃうな~⤴⤴⤴
サービスでちょっと僕ちゃんの動き
見せちゃおうかな~
武
(しゃべり方まで変わってるやん!
でもチャンス!)
「師父是非お願いします。」
素菓子
「よかろう」
ブオッ ブオッ ブオッ
舞うように動く素菓子
ほとんど音がしない動き。
足音すらしない。
切り裂くような拳、蹴りの際のブオッという音
のみが静寂を破る。
その動きには一切の力みはなく
頭の上下動、横の動きのブレも一切見られない!
頭突き、体当たりを多用している。
体重のシフトの妙技である。
歩くのも滑るような歩法で
するような動きだ!(わかる人にはわかる)
清流の流れが如く動いている。
見事な体捌きである。
素菓子
「っと。こんなものかのぉ~」
武
「す、すばらしい!是非私もできるように
なりたいです!」
素菓子
「かっかっかっかっ
お主もできるようになったら弟子Мと合わせて
ジョットストリームアタックでもするかの!?」
武
「なんなんですかそれ!
是非やってみたいです。」
素菓子
「やはり知らんか…不勉強なやっちゃの~」
武
「ちなみにこれは何の動きなんですか?」
素菓子
「仙流体術じゃ。おまえがやっとるのは
これの一部じゃ。
お前たちの国では忍術として伝わっておるがの
半蔵ちゃんも
三ちゃんも
小太郎ちゃんも熱心じゃったの~
懐かしいわい」
武
(なんのこっちゃ)
「師父今日は肩に手をかけられた場合」
をやったのですが、今回は以外とすんなり
できました。」
護身術 女性専用 肩に手をかけられたら手を捻じ上げる!Women Self-defense.
素菓子
「そうじゃの今回のはあまり複雑な動きのない
難易度の低い術じゃ。初めは一通り動きを
覚えるところからでかまわん。
じゃがまだまだ動きがぎこちないからもっと
無駄を除くよう訓練しろ!武術もアートじゃ。
美しゅうないといかん。」
武
「はい、わかりました。」
素菓子
「特に腕をねじ上げる時が最大の
注意を払う。
捻じる時に相手にあまり捻じってるのは
伝わらんようにな。自分の頭の動きで相手の腕を
ねじ上げるのを誘導してあげるんじゃ」
武
「ボクシングのヘッドスリップみたいな
感じですよね?」
素菓子
「そうじゃ、ポイントは」
つづく
第5話 諸手でもたらた場合の対処法2
武
(悔しいけど、今は我慢…)
「師父続きをお願いします。」
素菓子
「うむ。肘を抜く時は手で抜くのではなく
体全体で抜くように。
手首を抜いたらそのまま一気に顔面に肘を入れる!
反対の手で相手を支配しているから容易に
入れれるはずじゃ。
ただ、肘を打つ際に反対の極めてる腕が途中で
抜けてくれんと自分の腕が邪魔で肘が打てん。
お主の動画でもそうなっとるじゃろ。
自分の腕が邪魔で無理して打つから肘がオープン気味に
打ち出されとる。しかも、オープンな肘を誤魔化す為に
腰が閉じたままになり腰を入れて打てんから
不細工な恰好で打つことになっとる。
志村けんの『アイ~ン』みたいになっとる
笑いをとるんじゃったらそれでいいかもしれんが、
真剣勝負では無用じゃの。
肘を打つ際、反対の手は引かず押さずでニュートラル
の位置を保持し、顔面に肘を入れることで
相手を後に倒すんじゃ。
一番のポイントは右は引いても左はそのまま。
右を引くから実際は左は若干押し気味になるが、
相手の重心は一定に保てよ!」注)左前の場合
右と左の動きがバラバラになるから若干難易度は
上がるが簡単じゃろ?」
武
「なんとか形だけはできるようになりました。」
素菓子
「まずはそれで良い。まずは形を覚えよ。
そしてそれを繰り返し、細かい所を修正せよ。
さすれば、誰でも上達するようになっとる。
無知なお主に一応聞くが、
1万時間の法則をしっとるか?」
武
(くっそ~言われたい放題じゃないの!
でも知らないし…ここは下手に)
「いいえ知りません。私は無学なので
教えて下さい。」
素菓子
「少しは勉強せいよ。1万時間の法則とは
てっとり早く言うとあるスキルを習得
しようとするとおおよそ1万時間
を要するってことじゃ。
語学、ピアノ、ダンス、武術しかりじゃ。
それなりになろうとするとそんだけ時間が
必要ということじゃ。
だから、昨日今日始めたようなくちばしの黄色い
ヒヨコが上手下手を語るのは笑止な話じゃて
かっかっかっかっかぁ~、あ!あ!顎が」
ゴキッ
「笑い過ぎて顎が外れたじゃろうが!!!」
武
(勝手に笑ってたくせに、ざま~みろ)
素菓子
「じゃから今は上手下手を語るより、ひたすら
形を覚え、反復練習する中で術の本質を見抜き
より高度な体の使い方を習得するよう心掛けよ。
護身術に複雑な動きは必要ないじゃろうから、
単純な動きばかりで構成されとるはずじゃ。
これでできなんだら、護身なんてあきらめろ。
小手先の動きにとらわれるな、体全体を
使うんじゃ。小指1本動かすのも体全体を
使うと心得よ。
わかったか?」
武
「はい、なんとなくわかりました。」
素菓子
「なんとなくって!
もう教えんぞ
あほんだらぁぁぁぁあああ!」
武
「師父そんなに怒ると血圧があがりますよ」
素菓子
「おまえが怒らせとるんじゃ
ろうがっ~!!!」
はぁはぁ、ぜーぜー、はぁはぁ、ぜーぜー
「あんまり怒ったから動機がしてくるわい」
武
「それじゃあ、九心飲んで元気になって下さい
はいこれ。」
素菓子
「そうそう、最近階段を登るのが辛くって……
でもこれがあれば大丈夫。
動機息切れに、きゅ~しん♪きゅうしん♪
ってあほか!
ポイっ
(はっ!思わず乗り突っ込みしてしもうた)
武
(……………)
「今日は大変参考になりました。
これから教えていただいた事を肝に銘じ
日々精進していきます!
ありがとうございました。
では、これでさようならまた来週!」
チリンチリーン チリンチリーン
素菓子
「えっ…………あんだけやらせといて
ワシを放っていくの……
ワシの存在っていったい…」
風)ヒュウーーーーーーーー
素菓子
(でも、良い退屈しのぎになりそうじゃわい)
つづく
第4話 諸手で持たれた場合の対処法
武
「ではこれから、教えてもらえるんですか?」
素菓子
「いちご大福も、もらったしの~
仕方ない、教えてしんぜよう。
が、正式な弟子というわけではないぞよ。
ワシが趣味で教えるだけじゃ。」
武
「ありがとうございます。
では、お爺さんこれから宜しくお願いします」
素菓子
「お、お爺さんて、張っ倒すぞ!!」
武
「す、すいません。
どうも見た目がただのお爺さんなんで…」
素菓子
(どうも、わしをリスペクトしてないようじゃの)
「ふんっっ、まあよいわ。
正式弟子ではないが師父と呼ぶことを許そう。」
武
「ありがとうございます師父。精一杯がんばります」
素菓子
「うむでは、さっそくじゃが今日はどんな
護身の術を学んだんじゃ?」
護身術 女性 両手で片手持たれたら 金的頭突き顔面に肘打ち Women Self-defense. If it is held with both hands
武
「手を抜く時に無理に抜いてどうしても引っ掛かりができて
最後の肘が遅れてしまうんです。」
素菓子
「聞いておるとは思うが『脱力、角度、軸、重心』
これがわかってないと、術をより成功させるのは難しい。
これらを前提条件を満たすと言うことにする。
偶然できたではダメなんじゃ。
しかも主がやろうとしとるは護身術。
チャンスは1度しかないと思え。
そのチャンスに己の持っているすべての術、力を
全力で浴びせかけるんじゃ!完膚無きまでにの。
加減など必要ない!
オナゴにとっては将来が係わってくる真剣勝負。
相手もそれを承知での行為であろうからの。
カスみたいなやつらじゃが。
さて、前置きはここまでにして、
お主はどこまでわかっているのかの?」
武
「初めは全然わからなかったけど、最近は全体的に
わかるようになってきました」
素菓子
「まぁ怪しいが。
前提条件が満たされてないと術の汎用性が高くできんて。
これらが満たされない術はただの力技じゃ。
そこに術理なんてないに等しい。
力技では、オナゴや力の弱い者は何もできん。
理論上そこに護身術は成立しないことになる。
だが、ワシらがやっているのは、力に頼らない術じゃ。
見た目は普通にしか見えんが、
体の中で体が動いている高等な体の使い方じゃ。
ただ、これらもスキルじゃから誰にでもできるのじゃ
だからお主にもできるという訳じゃ」
武
(ただのジジイだと思ったけどまともなことも言うんだな)
「では、今日の術では何がダメだったんでしょうか?」
素菓子
「まず初めの相手の肘を極めるところから甘いの。
あれで相手の体を浮かすことにより重心を奪う。
もちろん相手の肘を極めるのに力は使わん。てこの原理
の応用じゃ。相手の重心を奪えば自由に操作できるので、
今回は頭突きにしとったの。相手をこっちに引き寄せ頭を
出したら頭突きじゃ。これはほぼ100%決まるはずじゃ。
そのまま勢いで金的に膝を入れる。保険じゃ。
後に押したらこれで終わりじゃろうが敢えて難易度を上げとる。
そこから持たれた手を抜くわけじゃが
相手の肘を極めつつその場で保持。そのまま手首を
真上に抜くのではなく、相手の親指を切るように抜く。
もちろんその際自分の手首が相手の親指とぶつかっては
いかんぞ!スルスルとうなぎのように蛇行して抜くんじゃ。
一切のぶつかりのないように訓練しろ!基本じゃ。
これは脱力ができてないと厳しい技術じゃ。
ぶつかりがわかってないと話にならんからの~
ここまでは理解できるか?」
武
「はい、ぶつかってる感覚はわかっています。
だいぶ怒られながら練習しました……」
素菓子
「これくらいはわかってないと弟子Мにも見放され
とるじゃろう。いろはの、い、じゃ。
これすらわからず、何十年とひたすら武道の練習
しとる者が圧倒的に多いがの。かっかっかっ
じゃが、あ奴に怒られながらも、よう練習したの?
あ奴は目をかけてない者に教える時は
穏便にやさしく教えとるが、目をかけてる者には
鬼のようになっとるはずじゃがな~?」
武
「はい、大概怒られてます…」
素菓子
「かっかっか、さもありなん。
ただ、そんだけお主の才能を理解しとるということじゃ。
あやつは無駄な物に金も時間も絶対に投資はせん!
合理性の塊みたいな奴じゃからの、1秒でも惜しいんじゃ。
鬼の形相はあやつがお主を認めた証拠じゃ。
誇りと理解しろ。なかなか認めん男じゃぞあ奴は。
それだけの才能があるってことじゃよ。
わしにはさぁっっぱりわからんがの~」
鼻ホジホジ
武
(このジジイ!!)
つづく
第3話 武ちゃんの点数
武
「全然知らないですけど(汗)」
シ~~~~~~ン
素菓子
「えっ…………………………」
放心状態の素菓子
30秒後
「ま・まぁ無知な者は知らんようじゃな
ワシみたいにスーパー有名人を知らんで
よく生きてこれたもんじゃ
ワシを知らんとは納税してないような
もんじゃぞ。全く!
まぁサインが欲しかったらいつでもいいぞ」
武
(絶対いらないんだけど)
「どうでもいい話はそこまでにしといて
どうして私の事を知っているのですか?」
素菓子
(どうでもいいて…張り倒したろか)
「おまえが今護身術習っとる弟子Mに頼まれたんじゃ」
(鼻ホジホジ)
武
「あっ!今日会わせたい人がいてるって言ってた
人のことですか!」
素菓子
「そうじゃそのすばらしい超有名人の
素・菓・子じゃ(そかし)」
武
(また勝手に言ってる)
「で、何をしに来たんですか?」
素菓子
「弟子Mがおまえが護身術がうまくできなくて
悩んでいると言うからわざわざ
教えにきてやったんじゃ」
武
(恩着せがましい…)
「ありがとうございます。でもいいです。
自分でなんとかしてみますから」
素菓子
「それができんから悩んでるんじゃろ?
お主、それなりの自信があったんじゃないのかな?
人にダンスを教えようというくらいじゃ
普通の身体能力ではないのじゃろう。
学生時代から何をやらせてもそれなりにこなして
きたのじゃろう、が、今回はそうはいかなかった…
今までの自分の積み上げてきた自信が崩れだした。
まぁこんなところじゃろ。どうかな?」
武
「…………」
素菓子
「かっかっか
まだ修行を始めて1年達つかたたない者が言う事
ではないて。しかも主がやっているのは高等な
身体操作じゃ。弟子Mもわしが言うのもなんだが
なかなかの身体能力だが、ここまでの術の習得に
20年からかかっとるからの~お主だったらあこまで
なるのに100年はかかるかもしれんて
かっかっかっか」
「ただ、弟子Mの目は節穴ではない。素質のないものに
出来るとは言わん!主の素質を見抜いて言ったのじゃ
ただ、弟子Mは才能があるがゆえ言葉が足らん所があるで、
説明をはしょりよるから、わかりにくい所もあるのではないかな?
そこでワシが呼ばれたという訳じゃ」
武
(なるほど、師匠はそこまで考えてくれてたんだ。
この爺様はちょっとうさん臭いけど師匠の師匠だから
悪い人ではなさそうだし)
「じゃあまだ護身術の事全然わからないんですけど、
教えていただけるでしょうか?」
素菓子
「ふんっ、人に教えを請うのに手ぶらはないじゃろが
あ~なんか甘いのが食べたいのぉ~」
武
(うっ!露骨な催促…教えを受ける身、仕方ないか)
「今日、練習前に作ったいちご大福なら家にありますが」
素菓子
「いちご大福?なんじゃそら、まぁ1度食してやっても
いいがの」
武
「ちょっと待ってて下さい」
ドキューン
武
「はぁはぁっぜえっぜえっ、家からも、持って来ました。はぁはぁ」
素菓子
「お主仕事が早いの!ワシを待たせぬ心遣いは良し!
後は味じゃのどれ1つ
パクッ
く~く~く~く~く~~」
武
「大丈夫!喉につまりましたか!」
素菓子
「く~く~く~くぅ~~~、くそうまい!
武
ドテッ
素菓子
「なんと!さっぱりとしたイチゴの酸味と甘み、
それを損なわないようにあんこがそこはかとなく甘みを
主張しているお互いの良い所を存分に引き出した
適材適所のスイーツ。これがイチゴ大福か!
ごちそうさまでした
…これはお主の手作りか?」
武
「はい、たまに作ったりします。」
素菓子
「お主、護身術の腕はまだまだ、だが、
イチゴ大福の味はなかなかじゃの~」
武
(人を褒める時もあるんだ)
「ありがとうございます。でも、護身術の腕が
どうかはまだ見てないからわからないんじゃ?」
素菓子
「そんなもん、立ち方、歩き方、重心の位置をみてたら、
大体の予想はつくわ!20点じゃの」
武
「に、20点……」
素菓子
「そうじゃお主!これからは覚悟せいよ!」
武
「はいっ
グズで、のろまで、ガメラですが、
よろしくお願いします!」
酷評を受けた武ちゃん
これからどうなりますやら
つづく
第2話 武ちゃん素菓子と出会うの縁
ここは秘密修行場、『龍の巣』
僕
「おつかれさま、今日も動画が撮れて良かったな。
初めは全然やったけど、まぁまぁの動きやったし、
後はこれを応用して
実戦レベルまであげるだけやな!
わからん事とかあったら何でも聞いてや」
武
「うん、でも聞きたいことがわからないねん」
僕
「まだきっちりやって1年してないし
そんなもんやって考え過ぎたらあかんで
ようやってくれてる方や!
当日のお題やしようやってるよ」
武
「言うてる意味はわかるねけど、体が
動いてくれへんねん…
上手くできなくてごめんね」
僕
(危険やちょっと追い詰められとるな)
「簡単な事をやってるわけじゃないから出来なくて当然
いきなりできたらびっくりするよ!」
武
「ありがとうがんばる」
僕
「ところで紹介したい人がいるねけど」
(実は仙人やけど…)
「ここに来るように言っといてんけど
来てないねん。どこ行ってるんかな~
仕方ないな~また今度来てもらうわ
じゃあまたな。さいなら」
武
「ふ~ん、じゃあ仕方ないね。またね
さようなら」
自転車に乗って帰ってる武ちゃんが道端でうずくまってる
みすぼらしい格好の老人を見つけ、声を掛けた。
武
「おじいさんどうしたんですか?」
謎の老人
「う~~~う~~~う~~~」
武
「おじいさん大丈夫ですか!!!」
謎の老人
「う~~~う~~~う~~~
うまい!
武
ズルっ
(なんだ、心配して損した(汗)
しかし、小汚い爺さんだわね~
ムシロまで背負っちゃって鼻も真っ赤だし
放っといてさっさと帰ろうっと)
謎の老人
「やっぱり弟子Mがくれた葛はうまいの~
上品な甘さであるのにしっかりとした味
それでいて全然しつこくなく舌の上で溶けるような
この舌触りは絶品じゃの~
吉野の本葛とみたがいつも良いものをくれよる」
武
(あほらしッ)
再び自転車に乗って過ぎ去ろうとする武ちゃんに
老人が声を掛けた。
謎の老人
「待った、おまえが武ちゃんじゃろ?」
武
「なんで知ってるんですか!
このストーカー!!警察に連絡だ!」
謎の老人
「ま、待たんかい!
このワシをどなたと心得る!
我が白髪の三千丈 心の丈は一万尺
因果宿業の六道も 百の輪廻もまたにかけ
愛し愛しと花踏みしだき おつる覚悟の畜生道
誰が呼んだか名付けたか!
人呼んで
武仙(ぶせん) 素菓子(そかし)とはワシの事じゃ!」
でん!
(きまった、これでもかって位きまってしまった。ニヤッ)
武
(…………)
つづく